【カフェバー流れ星】HAPSで実現する次世代の地球観測!SkySense代表 パヴェル氏の挑戦

2025年7月23日(水)宇宙ビジネスの交流イベント「カフェバー流れ星」を開催しました。今回は、飛行船型HAPSによる次世代地球観測を推進する宇宙スタートアップ「SkySense合同会社」代表のアドディン・パヴェル氏をゲストに迎え、ABLab代表の伊藤真之とのトークセッションをお届けしました。
「HAPSによる地球観測」という新領域に挑むスタートアップのリアルな戦略と実行力に触れる貴重な機会となり、ABLabならではのインタラクティブで知的好奇心を刺激するイベントとなりました。
トークセッションの内容を一部抜粋してご紹介します。
トーク内容のご紹介

Skysense合同会社について
SkySenseは、東京工業大学発の宇宙ベンチャーであり、HAPS(High Altitude Platform Station:成層圏プラットフォーム)を活用した高解像度・広範囲の地球観測インフラの構築を目指しています。海洋監視、森林保全、災害時の被害把握、固定資産評価、地図更新、そしてスマートシティへの応用など、同社の飛行船型HAPSは、多岐にわたる分野での社会実装が期待されています。
これまでも、JAXA航空イノベーションチャレンジ2024年度FS(フィジビリティスタディ)採択や、ASTRO GATE社との提携、KDDI MUGENLABO UNIVERSE プログラムへの採択、PoCの実施など、HAPSプラットフォームの実現に向けて着々と進められています。
SkySense合同会社
https://www.sky-sense.jp/
HAPSの特徴と優位性
従来の地球観測手段との比較:
- 衛星観測: 広範囲・低コストだが解像度が低く、観測頻度に制限あり
- 航空撮影: 高解像度だが範囲が狭く、コストが非常に高い(1回で2000〜3000万円)
HAPSの利点:
- 高度が低いため高解像度の撮影が可能
- 定点観測が可能(同じ場所を継続的に観測できる)
- 製造・運用コストを抑えられる
- 地上に戻してメンテナンスやアップグレードが可能
- 飛行船型は浮力を利用するためエネルギー効率が良い
- 安定性が高く、振動が少ないため撮影に適している

市場ニーズと顧客
主な顧客:
- データソリューション企業
- 自治体・行政(森林調査、固定資産評価など)
- 民間企業(建設現場管理、インフラ点検など)
ニーズ:
- 高解像度・高頻度の観測データを低コストで提供
- 災害対応、船舶観測などでも需要あり
開発計画と課題
開発ロードマップ:
- 現在は全長5mの実証機1の開発段階
- 最終的には全長30-35mの商用機を目指す
- 段階的に技術を積み上げていく計画
技術的課題:
- 外皮膜の材料開発
- 20km上空からの高解像度データ通信
- 長期滞空(6ヶ月以上)のための技術
規制面の課題:
- 飛行船の型式証明取得が必要
- 日本では飛行船の定義から整備する必要がある
- 国交省との協議を進行中
今後の展望
- 全国に45-50機程度を配置し、日本全土をカバー
- 2時間以内にどこでも撮影可能なネットワークを構築
- 6ヶ月以上の滞空時間を実現し、運用コストを削減
- 通信技術の発展(6G等)と連携したリアルタイム観測の実現

イベント概要
カフェバー流れ星は、宇宙ビジネスに関心を持つ人が集う交流イベントです。宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」が運営し、宇宙の仲間作りを支援しています。
■本イベントのプログラム
・トークセッション
・参加者の自己紹介(参加者全員に発表していただきました)
・ゲストを含めたネットワーキング
■トークセッションについて
テーマ:衛星だけじゃない、次世代の地球観測 HAPSプラットフォームの作り方
ゲスト:アドディン パヴェル 氏 SkySense合同会社 CEO
聞き手:伊藤 真之 一般社団法人ABLab 代表理事
カフェバー流れ星への参加方法
次回以降のカフェバー流れ星に参加したい方は、ABLabのPeatixをフォローしてください。イベント公開時に通知を受け取ることができます。