ヴォーターズ サワが提案するバッグ「ESM」がDuPont社の主催するデザインコンペで特別賞を受賞しました

ABLabの会員であり、宇宙に携わるみんなを繋ぐ帽子「T+」を手掛けるデザイナーのヴォーターズ サワが、米DuPont社が主催する「Tyvek Design Award 2023」コンテストにおいて特別賞を受賞しました。今回受賞したのは、ヴォーターズが人類の宇宙活動から構想を得て新たに提案するバッグパック「ESM(Essential Support Module)」です。

ESMの特徴や誕生の経緯、今後の展望などについて、ヴォーターズ本人へのインタビューでご紹介します。

ESMとは

ESMは、Essential Support Module(エッセンシャル・サポート・モジュール)の略称です。宇宙服の LSS(Life Support System)と、ISS(国際宇宙ステーション)の構造から構想を得た新しいバックパックです。

ISSのようにモジュールを連結させることで1つのバックパックに仕上げ、LSSのように毎日の生活で不可欠なものを用途ごとにモジュールへ収納。必要に合わせてモジュールを切り離し、付属のベルトを使用することで独立したバッグとして使用できます。

普段の生活、アウトドア、仕事、災害避難時、宇宙旅行、あらゆるシーンでライフサポートしてくれるバッグパックです。

https://sawavaughters.com/ESM/

Tyvek Design Award とは

アメリカの化学メーカーDuPont社が、イタリアの大手企業Desall社と協力し、世界中のデザイナー、アーティスト、デザインを学ぶ学生、その他のクリエイターが参加できるプロジェクトとして2023年に立ち上げたデザインコンペです。

https://www.dupont.co.jp/tyvekdesign/design-with-tyvek/2023-tyvek-design-award.html

ヴォーターズ サワのご紹介

sawa vaughters

ヴォーターズ サワ

帽子ブランド SAWA VAUGHTERS 代表/デザイナー
宇宙に携わるみんなを繋ぐ帽子「T+(ティープラス)」をプロデュース。
宇宙限定のキャップデザインで業界全体を繋げるために活動中。
Twitter:@SawaVaughters
Instagram:tplus_cap
HP:https://sawavaughters.com/

インタビュー

ABLab会員のAzusaがインタビューさせていただきました。

azusa

まずは、受賞おめでとうございます!早速ですが、今回のコンテスト応募のきっかけを教えてください。

sawa

「T+」は宇宙業界で働く人の為の帽子ブランドですが、ある方から「バッグは展開しないのか?」と言われました。それをきっかけに、新しい切り口でバッグの構想を練り、軽さを前提とした素材を調べている際に、DuPont社のページに辿り着きました。そこで偶然このコンテストを知ったのです。

実はTyvekという素材自体を知らなかったのですが、その素材の持つ機能性やユニークな風合いに、すぐに「これだ!」とピンときたのです。それでコンテストの出品を決めました。

また、DuPont社という化学メーカーが開発した素材を使用するということは、デザイン構想のもととなっている“宇宙”との相性の良さも感じました。

azusa

なるほど。Dupon社が化学メーカーということもなんだか運命を感じますね。

特別賞の受賞を知ったとき、最初に感じたことは?

sawa

何故、優勝ではないのかと。笑

azusa

笑。本当にそうですよね!

サワさんのデザインされた、ESMの特徴について教えてください。

sawa

モジュール式バッグという点です。モジュールを連結して最終的にひとつのバッグとして完成されます。ショルダーベルト、ポーチ用のストラップ、ウェストポーチ用のベルトなど、様々な持ち手ベルトを付け替える事で、異なったスタイルで、様々なシーンで分けて活用してもらえるのが特徴です。

使用するモジュールの種類も何個でも良い。複数連結しなくてもモジュール1個の単体でも使用できる。異なる形のモジュール、ポーチやバッグを、好きに選んでカスタマイズできるという点も楽しいと思います。

azusa

モジュールから連想されるとは、さすがです。

バッグのコンセプトやデザインに込めた想いを教えていただけますか?

sawa

コンセプトは名前の通り、Essential Support Module(エッセンシャル・サポート・モジュール)です。

その時の活動シーンに合わせて、必要なものを収納し、ポーチ、ショルダー、ウェストポーチなど1番活用しやすいスタイルに変化させて使用します。

ESMは宇宙服のLSS(Life Support System)と、ISS(国際宇宙ステーション)の構造から構想を得ていて、ISSのようにモジュールを連結させることで1つのバックパックに仕上げ、LSSのように毎日の生活で不可欠なものを用途ごとにモジュールへ収納する、というアイディアから生まれました。宇宙空間でも使用できるよう、それぞれのモジュールの裏面には幅広のベルクロが施されています。

これからますます活発化する宇宙旅行に向けても、また、普段の生活、アウトドア、スポーツ、仕事、災害避難時などあらゆるシーンでライフサポートしてくれるバッグとして愛用して頂けたらと思います。

sawa

実際に手に取ってみても、私ならどうやって使おうか、このポーチはあれを入れようかなと想像が膨らみます。何通りもの持ち方ができる。素晴らしいアイディアですね!

では、製作過程での工夫やTyvek素材だからこそ苦労した点はありますか?

sawa

Tyvekには様々な種類があります。紙のように薄いものから、私が使用した硬さのあるもの、色、風合い、柄、見本帖をみているだけでもワクワクします。

今回私の選んだ「Creasing Tyvek」という種類のTyvekは、モジュールの形を保つのにはちょうど良い硬さですが、しなやかさがないため縫製する際の表裏をひっくり返す作業や、大きなバッグの底周辺にステッチを入れる作業は少し大変でした。

azusa

サワさんが、デザインにおいて最も重要だと感じる要素は何ですか?

sawa

ファッションデザインの視点から「Originality」ではないかと感じています。

SAWA VAUGHTERSでは【Provide Originality Through Creations】という理念のもと活動しています。「Originality」とは今までにみたことがない唯一無二のもの、身につける人の個性を引き出すものなど様々あります。

洋服や服飾雑貨におけるデザインは、これを身につけるとカッコよくみえる!可愛いくみえる!など、装うことで少し元気が出て、その日の自分に自信が持てたり、不安が和らいだりという不思議なパワーがあります。皆さんのひとりひとりの個性を表現する様々なデザイン、重要なキーワードではないかと思います。

ファッションは自分自身をわかりやすく周りに伝えるられる方法です。

Enjoy Fashion!!

azusa

受賞を受けて、今後のデザイン活動にどのような影響がありそうですか?

sawa

私のデザイン活動は今まで帽子が中心でしたが、ありとあらゆるデザインに挑戦していきたいと思っています。企業と共に人の問題解決につながるデザインや、ファッションのカテゴリーにとどまらないマスのマーケットに向けた商品企画に挑戦してみたいと思っています。

今回のこのESMについては、現在DuPont社からの最終的にどのようなビジネスに関わるオファーがあるのか連絡を待っている状態です。この機会を次にどうつなげるのか、また改めてご報告をさせていただきます。

azusa

最後に、ABLabメンバーへのメッセージをお願いします。

sawa

始めの書類作成から動画の細かいストーリー作りまで、共に歩んでくれたメンバー、感想やアドバイスをくれたメンバー、投票で応援してくれたメンバー。皆さん本当にありがとうございました。皆さん全員のおかげでこの結果をいただくことができました。改めてABLabのコミュニティが作り出すチームの力、お互いを引き寄せ合う力は本当に凄いなと思いました。

出品すると決めたのは一人でも、ゴールにむけて走るのは1人ぼっちじゃなかった。ありがたいな、幸せだな、と常に感じながらコンテストを走り抜く事ができました。この場を借りて改めて心からお礼申し上げます。

azusa

サワさん、この度は本当におめでとうございます。
これからのますますのご活躍を期待しております。

まとめ

宇宙業界でのヴォーターズ サワの取り組みは、一見遠いところにありそうな宇宙業界とファッションをつなぐ大変重要な役割を果たしていると感じています。宇宙ビジネスや宇宙業界と聞くと難しそうなイメージがありますが、ファッションから宇宙を感じ、取入れ、興味をもち、理解をする。実は一番取り入れやすく身近にある宇宙ではないでしょうか。これからの活動にも注目し、ABLabとしても応援していきます。

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