宇宙建築のスタートアップ「OUTSENSE」の折り紙技術

株式会社OUTSENSEという宇宙建築のスタートアップ企業がプロボノを募集していたので話を聞いてきました。まだまだ未開拓な宇宙建築という分野で、OUTSENSE社がどのようなビジョンを描いているのかご紹介します。

OUTSENSEとは

株式会社OUTSENSEは、宇宙に家を造ることを目指し、三次元展開構造物という「折り紙」技術を用いた建築を模索しています。この折り紙技術を用いると、小さく折り畳んだ状態で建造物を打ち上げ、宇宙空間で大きく展開し広い居住空間を創出することができます。

現在15名程度のメンバーで活動していますが、今後プロボノメンバーを増やし、大学教授をアドバイザーに迎えたワーキンググループ等にも力を入れ、活動規模を拡大していくようです。

宇宙建築の課題

宇宙建築と言えばISS(国際宇宙ステーション)ですが、10年以上という長い期間をかけて建設しても、室内スペースが非常に狭いという課題があります。ISSは地球から400kmですが、月は38kmです。ISSと同じ方法での建築はおそらく難しく、この折り紙技術がもしかしたら有効な手段となり得るのかもしれません。(勉強不足でまだよくわかっていませんが)

三次元展開構造物(折り紙技術)とは

宇宙での建築手法としては今のところ大きく4つあるようです。

ISSのように完成品のモジュールを打ち上げて宇宙で組み立てる方式。3Dプリンターを活用した現地生産方式。インフレータブル建造という、ガスで膨らませる方式。そして三次元展開建造(折り紙技術)という、折り紙のように折り畳んだ状態で打ち上げ、宇宙で自動展開させる方式。折り紙技術の方式だと、比較的短期間に、面積の広い建造物を建築可能となります。

折り紙技術については様々な方々が研究を進めているようですが、OUTSENSEがベースとしているのは、東海大学の十亀昭人氏が研究している「十亀折り」というもののようです。

OUTSENSE社のロードマップ

OUTSENSE社は、まずは2020年を目処に、この折り紙技術を活用した(地上での)商品開発、販売によって事業化し、2030年には月面施設の開発を目指すとのこと。確かにこの折り紙技術は宇宙建築に有効そうですが、普通の家具とか持ち運び用のグッズとかにも応用できそうですね。

資料

OUTSENSE社の説明資料がWebで公開されていましたので、興味のある方は目を通してみてください。折り紙技術を説明する写真も載っています。

 

【追記】まだまともなWebサイトがなさそうなので、興味ある方はFacebookページをフォローすると良さそうです。

https://www.facebook.com/teamOUTSENSE/

投稿者プロフィール

伊藤 真之
伊藤 真之代表理事
1983年、福島県生まれ。IT業界で約10年マーケティングの経験を積んだ後、ファンブック株式会社を設立し独立。2018年、当時小学1年生の息子と宇宙の勉強を始めたことがきっかけで、宇宙ビジネスの潮流を知り、半年後に宇宙ビジネスコミュニティ「ABLab」を創設。「地球上のすべての業界を、宇宙産業に巻き込む」というビジョンを掲げ、異業種から宇宙に挑戦する人や企業を支援し、事業創出と人材輩出に取り組む。