【カフェバー流れ星】ABLab発「宇宙医療」Space Medical Accelerator1周年インタビュー

 2023年5月18日に開催された宇宙ビジネスの交流イベント「Cafe & Bar 流れ星」は、一般社団法人 Space Medical Accelerator(以下、SMA)の理事である福島洋輝さんがゲストスピーカー。「宇宙医療でのニーズや活動」をテーマにトークセッションを行いました。

 「宇宙医療」とは何か?発起から五年、法人化から一年。さまざまな営業活動取り組んだことで掴めた、医療への期待やニーズについて詳しくお話ししてくださいました。

ダイジェスト版ショート動画(約1分)

 まずはダイジェスト版のショート動画をご覧ください。

「宇宙医療」という幅広い分野のなかで

宇宙医療では、どんなお仕事を?

 現在もエンジンやロケットを製造する国内重工メーカーに在籍し、エンジニアとして研究開発に携わっています。宇宙ビジネスといえば「通信衛星」は広く知られた事業ですが、私が興味を惹かれたのは生活のインフラである医療。ABLabに加入して代表理事・後藤と意気投合し、人柄に惚れたこともあって、2020年からジョインしています。

 SMAは脳外科医の後藤正幸が発起人であり、代表理事を務めています。ABLabの一つのプロジェクトとして2019年から活動を始め、2022年から一般社団法人となりました。SMAは宇宙医療に特化し、医療のさまざまな分野の専門家たちが集結しています。

 宇宙旅行はじめ、アルテミス計画や火星探査など人類はどんどん宇宙へ進出しています。その中でSMAはどのような医療が必要になるのかという課題に取り組み、宇宙での医療革新が地上においても貢献できる可能性があると考えています。そのため宇宙飛行士のような役割ではなく、「人類みなが宇宙へ行ける状態を作る仕事人」として、同じく連れて行かれる側として何が必要かについて考えています。

 現在の宇宙空間では、宇宙飛行士が医療機器を扱う訓練を積み処置をしていますが、一般の人が宇宙へ行く時代になると、医療は公共サービスのように機能させることが必要です。そのために現在、様々な企業と事業の共創に取り組んでいます。具体的な活動は、二つ。

  1. 宇宙に住むための医療技術の開発: 宇宙での医療ニーズを満たすために、企業の持つ独自の技術を活かして宇宙医療に貢献できる可能性を提案。例えば、センシング技術や特定疾患の早期発見に関する技術がある場合、宇宙医療に応用する具体策を一緒に考えています。また、宇宙で解決できる医療課題は地球上でも重要なインパクトを与えるので、それらの付加価値についても共創しています。
  2. 宇宙医療に関する一般認知の向上: 宇宙医療に関する一般的な認識を高めるために、企業の従業員や学生、一般の方々に対し、宇宙での居住に関する医療課題や必要性についてわかりやすく課題や重要性を伝える啓発活動を行っています。

 その二つの活動を通じ、宇宙と地球の両方において有益な成果を生み出すことを目指しています。そしてこの一年間以上の活動を通して、協業・協力してくださる医療関係者も増えてきました。

そのような活動が始まったきっかけは?

 ABLab内でのプロジェクト活動がきっかけでした。法人化する大きなきっかけは大手企業から「一緒に学会への参加してみないか」という契約でした。そこで初めて一つの大きなニーズを掴むことができました。その後、関連のありそうな企業や、あまり関係のなさそうな企業に向けたさまざまな提案を試行錯誤した結果、求められている領域とそうでない領域が絞り込めるようになりました。そこで得た経験により、長期的に本気で取り組む企業に向けた支援と、その分野でどう成長するかという教育面でのサポートという、二つの軸を見つけることができました。

 「医療」という分野は驚くほど幅広いですが、日本は基礎研究の分野で進んでいます。例えば、無重力を使った再生医療や創薬実験など。より身近な医療の分野ですと「無重力下での骨や筋力の質の低下」「入眠しにくくなった」など、内科・精神科などさまざまな各医療領域で課題があり、それは世界中で現在も研究されています。

今後はどんな展望を描いていますか?

  SMAの目標は、多くの企業とのコラボレーションです。企業の持つ課題に対してソリューションを提供していくため、ロビイングも活動の一つ。宇宙医療というテーマや課題感について、定期的にディスカッションやセッションを行い、国・学校・民間が取り組めるようなムーブメントを作っていき、さまざまな層の方々への認知活動も行っていきます。


 宇宙医療の分野は、今後ますます重要性が高まると考えています。技術の進歩や開発の進展により人間が長期間、宇宙で過ごす機会が増え、医療ニーズも増加し、新たな課題や要求が生まれます。さまざまな分野での進歩が期待されて、このような流れはチャンスと捉えています。宇宙医療分野が確実に成長し、将来的には何兆円という大規模な市場になることが予測されます。そのような情報や展望を伝えながら、宇宙医療が成長し続けるジャンルであることを示していくことも重要な活動の一つです。

 そのためABLabメンバーから刺激を受けて、教育コンテンツの動画も作りました。重工機器の技術が融合して、宇宙での生活をより良くする街ができるといいなと思います。そしてその恩恵が地上にも波及し、みんなが幸せに暮らせる社会を実現できるようなビジョンを思い描いています。

 「宇宙に行けるとしたらどこへいきたいか?」そうですね。遥か遠くよりも、地球に近いところですね。地球の丸さや、太陽の明るさと暗闇の対比を見てみたいです。

カフェバー流れ星とは

 カフェバー流れ星は、月に一度だけ開く、宇宙または宇宙ビジネスに関心を持つ人が集うカフェバー。と言っても実店舗があるわけではなく、イベントスペースを借りて一晩限りの交流の場を提供する交流イベントです。

宇宙ビジネスの実践コミュニティ「ABLab」が運営し、宇宙の仲間作りを支援しています。宇宙や宇宙ビジネスに関心のある方ならどなたでもご参加いただけます。ABLabのスタッフがホストとして、ゲストの皆様の新しい出会いや交流をお手伝いしています。これまでも様々なプロジェクトやコラボレーションのきっかけを促してきました。

5月18日開催のイベント概要

日時  :2023年5月18日(木) 19:00-22:00

場所  :New民家バー後楽園店
     ( https://www.instabase.jp/space/4748208721?catalog=true )

参加費 :初めて参加の方    2,000円
     2回目以降の参加の方 3,000円
     ※ABLab会員は月額会費に含まれるため無料

定員  :30名

対象者 :宇宙や宇宙ビジネスに関心のある方

サービス:飲み放題、お菓子おつまみ類

タイムテーブル:

19:00-20:00 オープン、フリータイム
20:00-20:30 自己紹介タイム (参加者の皆さん一人一人に自己紹介をしていただきます)
20:30-21:00 対談セッション
21:00-22:00 フリータイム
22:00-22:30 記念撮影、クロージング

対談ゲスト:

一般社団法人 Space Medical Accelerator

理事 福島 洋輝さん

カフェバー流れ星への参加方法

 次回以降のカフェバー流れ星に参加したい方は、ABLabのPeatixをフォローしてください。イベント公開時に通知を受け取ることができます。

関連ページ

一般社団法人 Space Medical Accelerator

https://space-healthcare.jp/

投稿者プロフィール

九十九凛
九十九凛宣伝 / 企画
宣伝やブランディングといったコミュニケーションのマネージャー。
フリーランスでSNSディレクションや、広報に必要なデザイン制作と写真撮影をしている。Web3産業ではゲームクリエイターのコミュニティマネージャーとして従事。人やサービスの価値を説明するのが趣味。夢は日本や世界を旅して自然や文化の美しさを撮影しつつ、友だちを見つけに行くこと。