【医療×宇宙】プロジェクト・キックオフ・ミーティング

医療×宇宙をテーマとしたビジネスプランを考えるプロジェクトのキックオフ・ミーティングを9月7日に開催しました。ABLabメンバーのほか、IT×医療のオンラインコミュニティであるMIラボの方々にも参加頂き、少人数でしたがその分白熱した議論となり大いに盛り上がりました。その概要をレポートします。

医療×宇宙プロジェクト・キックオフ・ミーティングとは

近年、国の政策もあり宇宙ビジネスが隆盛を極めていることはご存じの通りで、世界各国で数々の宇宙ベンチャー企業が誕生し、しのぎを削っています。それらは大きく①ロケット・衛星打ち上げ、②衛星データ活用、③軌道上でのサービス、④月面・火星など深宇宙探査、⑤宇宙旅行など個人向けサービス、に分類されますがこの中で医療×宇宙、つまり「宇宙を利用した医療ビジネス」というものはまだほとんど注目されていません。宇宙医学という背景を元にして、医療分野ではどのような宇宙ビジネスモデルが考えられるか、といった話し合いを行いました。

内容

  • 近年の宇宙ビジネスの潮流
  • 世界・日本の代表的宇宙ベンチャー企業について
  • 医療をテーマにした宇宙ビジネスの例
  • 宇宙医学

といった順番で説明させて頂きました。

近年の宇宙ビジネス潮流については、国の政策Society 5.0:人工知能とビッグデータ利用により人間が暮らしやすい社会を作ること、そのために衛星データの活用などの宇宙技術が大いに期待されていることを具体例をあげてお話しました。

さらに、代表的宇宙ベンチャー企業について、スペースXやブルーオリジンなど世界トップレベルの資金を投入して宇宙を目指す彼らの壮大なビジョンや、日本の宇宙ベンチャー企業の取り組みやアイデアの豊かさについて説明しました。

さらに、宇宙医学についての基本的な内容についてです。宇宙空間で起こる身体の変化として、宇宙酔い・体液の頭部方向シフト・骨/筋委縮・放射線被爆・閉鎖環境ストレスなどについてです。宇宙という特殊環境でこれらの現象が生じる原因と、対処方法や今後の課題についてお話ししました。

そして、現在の宇宙ビジネス市場が以下の①-⑤に分類されること、そのうち医療分野での需要はどこにあるのか?ということを皆さんにアイデアを出して頂きました。医療従事者ではない方々からも自由な発想で予想外のアイデアが飛び出し、とても楽しく有意義なディスカッションとなりました。

医療×宇宙ビジネスアイデア

以下は、今回アイデアに挙がったビジネスモデルとディスカッション内容です。

宇宙旅行客のメディカルチェック

宇宙旅行客の健康状態を搭乗前にチェックして、フライトの安全性を判断する医師。宇宙飛行士の訓練および業務中の健康管理を行っている、JAXA所属医師(フライトサージャン)の業務に近いと考えられ、航空宇宙医学の知識が必要と思われる。軌道上や月面で活動する宇宙ベンチャー企業の探査員や研究員が増えてきたら、彼らの健康管理も仕事になると予想する。

衛星インターネットを利用した遠隔診療

途上国など医療機関へのアクセス困難地域で現在は需要が大きいが、先進国でも医師の都市部集中・大病院混雑や、過疎地域に暮らす高齢者の病院受診困難などの問題解決につながる可能性。直接臨床所見をとれない問題に対して、技術的解決が求められる。衛星については軌道上距離によって、コストや通信環境に支障が生じる問題がある。

宇宙環境を利用した各企業や研究機関の医学実験のマネジメント

現在、宇宙医学実験は国際宇宙ステーションで飛行士が行っているが、各企業や研究機関が軌道上で自由に医学・生理学実験を行えるような環境を整える。実現には宇宙へのアクセスコストの低減に加え、実験専用衛星・ロボット技術などの活用も求められる。微小重力・放射線暴露といった宇宙実験環境が得やすくなれば、宇宙医学研究のスピードが向上し人類宇宙進出が加速する可能性がある。

軌道上での医療サービス

宇宙空間という特殊環境を利用し、地球上より有利な医療を考案。無重力での全身熱傷治療や腹臥位(うつ伏せで行う)手術、宇宙放射線治療、癌細胞分化抑制の可能性など。さらに重度身体障害の方にとっては自由に動ける環境を提供できるのでは。

今後は情報発信・ビジネスモデル実現化

これらはまだアイデア段階に過ぎず、実現するには解決すべき問題が多くあります。しかし、それはそう遠い将来の話ではないと考えており、僕たちは本気で実現化に向けて動き出していきます。そのためにできることはまず、宇宙医学や医療についての情報発信であると考えており、今後このブログで宇宙医学の基本や最新研究の動向まで、どなたにも分かりやすい解説を目指していきます。今回のようなミーティングを今後も開催しますので、少しでも興味のある方は医療関係者であるに関わらずどなたでも是非参加下さい。お待ちしています!

投稿者プロフィール

後藤正幸
後藤正幸
「宇宙に、医療を」目標とする脳神経外科医。医療分野での宇宙ビジネス創出を目指して、日々活動中。最新の宇宙医学研究を、多くの人に分かりやすく伝える発信を行なっている。