現役医師による「医療×宇宙」の情報発信、はじめます。

このABLabブログで「医療×宇宙」の情報発信を開始します。この記事では、宇宙開発の現状を振り返り、「医療×宇宙」の必要性について解説します。

なぜ今、宇宙なのか

21世紀に入り、これまでNASAやJAXAなど国家主導で行われていた宇宙開発が、民間企業(宇宙ベンチャー企業)の参入により一気に加速しています。2017年時点で宇宙産業はすでに35兆円の巨大市場であり、まさに宇宙産業革命時代の到来を迎えています。

現在、世界中で多くの宇宙ベンチャー企業による衛星やロケット事業が行われています。今はまだ高額であるものの、市場での競争原理が働くようになったことで宇宙へのアクセスコストが大幅に下がり、一般の方でも海外旅行と同じ程度のコストで宇宙旅行に行ける日が来るのも決して遠くはないでしょう。

あの米国アマゾン社の創業者であるジェフ・ベゾス氏が立ち上げたブルーオリジン社は、2019年中に民間の宇宙旅行提供を開始するとし、将来的には100万人以上が宇宙空間で暮らし産業構造の劇的な変化が起こると予想しています。また、同じく米国イーロン・マスク氏率いるSpaceX社は、独自の輸送技術で2024年に人類を火星に送り、将来的に火星で独立した文明を築くことを目指しています。これらの事業は決して夢物語ではなく、すでにニューグレンやファルコン9といった次世代のロケット開発は着々と進められています。

人類は太古から、新たな世界を探し歩み続けてきた

宇宙進出はもちろん人類史上初となる大転換期ですが、これまでにも人類は自らの故郷を出て、新たな世界に生存領域を広げてきたのです。

5万年以上前、アフリカで生まれた人類の祖先は故郷の大陸を出て、苦難の旅を経て世界中に広がっていきました。15世紀の大航海時代には、新大陸をめざしヨーロッパの国々が競って世界各地に植民を果たしました。そして21世紀、人類の新たなフロンティアとなっているのが、宇宙です。

なぜ、住み慣れた地球を離れて宇宙に生活圏を広げなければならないのか?そう思う人も多いかもしれません。しかし、長期的には必ず人類は宇宙に出て行かなければならないのです。その理由として、すでに現在起こっている地球環境・人口問題などに加え、大規模な火山活動による気候変動や氷河期の再来、かつて恐竜を滅ぼしたような小惑星の衝突といった事態は今後必ず起こることが分かっているからです。地球に人類が住めなくなる日が、ほぼ100%の確率でいつかやってくるのです。その日は10万年後かもしれないし、来年かもしれません。宇宙開発を進めることは、究極の巨大災害対策とも言えるのではないでしょうか。

さらに、宇宙開発を進めることで現在地球上で生活する我々は大きな恩恵を受けています。すでにあるものとして、気象予報、衛星放送、自動車のカーナビゲーションやスマートフォンの地図アプリケーション。宇宙開発なくしては、これらの日常生活すらもはや成り立たないのです。

 

さらに、宇宙という微小重力環境を利用することで生み出される新たな医療技術、薬剤。老化のメカニズム解明や再生医療の進展、宇宙放射線研究による被爆防御の技術にもつながっていきます。

宇宙は遠い異世界などではなく、すでに私たちの生活に密着しているのです。

ヒトのいる場所には、医療が必要

宇宙開発はどんどん進んでいく。しかし、宇宙に行くのはヒトである。地球上で生活するために進化してきたヒトは、宇宙という全く異なる環境で暮らしていけるのでしょうか?

そこで、私たちは「ヒトが宇宙に出て行ったとき、ヒトの体には何が起こるのか?将来、地球を離れて本当に宇宙でヒトは暮らせるのか?」というテーマについて、医学・医療の見地から迫っていきたいと考えています。

ヒトが生活する場所には必ず医療が必要であり、宇宙もまた例外ではありません。このブログでは、今はまだあまり注目されていない「医療×宇宙」というテーマで、宇宙空間での人体変化から最先端の宇宙医学研究、または宇宙スポーツやエンターテイメントに至るまで、わかりやすく解説することを目的にしています。今後の連載を、楽しみにしていてください。

投稿者プロフィール

後藤正幸
本業は脳神経外科医。日々の臨床に力を注ぐ一方、「宇宙の力で医療を変える」ことを目標に活動中。一般の方向けに、宇宙医学のわかりやすい解説と発信を目指している。

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