世界で勝てる学生ローバーチームをABLabでプロデュースする

2022年6月13日、ABLabの定例イベント「ABLabソリューションズ」を開催しました。今回は、ABLabメンバーの阿依ダニシさんが、火星ローバーの学生世界大会「University Rover Challenge(URC)」で日本初出場を目指したい!と宣言し、「世界で勝てる学生ローバーチーム」をテーマに皆でディスカッションしました。

阿依さんは、ABLabの「The Martian Project」リーダーを務め、これまでは火星ヘリの研究開発に力を入れていました。火星ヘリに関するお話も大変興味深いので、こちらの記事も是非ご覧ください。

ABLabソリューションズとは


ABLabソリューションズは、メンバーやゲストからの問題提起(悩み、課題、検討中のテーマなど)に対し、ABLabの皆で考え議論しようというオンラインイベントです。「誰かの問題を、みんなの問題に」をキャッチフレーズに、優秀で熱意のある、そしてちょっと破天荒な仲間たちと共にディスカッションします。

具体的には、以下のような流れで進行しています。

  • 最初の30分で問題提起。問題を抱えている人の声を聴く。
  • 次の30分でグループディスカッション。皆の知見を総動員。
  • 最後の30分は共有と雑談。ディスカッションで生まれたものを共有する。

イベント概要


今回のテーマは、「世界で勝てる学生ローバーチームをABLabでプロデュースする」です。

タイムテーブル
21:00-21:30 プレゼンテーション「URC:火星ローバーの競技大会とは」
21:30-22:00 ディスカッション「世界で勝てるローバーチームを考える」
22:00-22:30 全体共有&雑談

University Rover Challenge(URC)とは


月面ローバーや火星ローバーの学生大会は様々なところで開催されていますが、URCは世界最大級の国際ローバー大会です。世界15カ国以上から100チーム以上が参戦します。しかし、これまで日本チームの出場実績はありません。今回、阿依さん率いる「ARES Project」が出場を果たせば、日本初の快挙となります。

2023年度の国際大会は6月にユタ州で行われます。そこに出場するためには、2022年12月を目処に開発を進め、デザインレビューを提出し、翌年3月の選考を通過しなければなりません。そこで選ばれた36チームだけが、6月の大会の出場切符を手にすることができるのです。

ローバーに対して求められる条件は、

・独立して移動できること
・1.2m立方のボックスに収まること、最大重量50kg
・動力システムは火星を想定
・Killスイッチの実装
・施設内からの遠隔操作
・1km以内の移動ができること
・38度以上の高温や砂や風に耐えること
……など。

本大会では、サンプル採取とその場で生命検出や分析を行う「Science Mission」、火星での宇宙飛行士を想定し補助を想定したタスクをこなす「Deliver Mission」、基地までのサンプルリターン物品運搬や宇宙機の模擬機のメンテナンス作業をする「Equipment Serve Mission」、指定されたスポットを半自律で走行する「Autonomous Navigation」の4つの競技で競います。

グループディスカッション


ARES Projectとして現在の課題は、ローバーの開発面ではなく、マーケティングや広報とのことでした。プロジェクトにおいてスポンサーや資金を集めるためには、広報活動も必要です。現在、プロジェクトメンバーにエンジニアは複数名揃っていますが、広報を担当できる人がいないとのこと。

ABLabメンバーでディスカッションしたところ、ABLabが出展する「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま」や「国際宇宙産業展」でのスポンサー獲得に向けた計画等で盛り上がりました。またYouTubeの活用等のアイデアも出ました。

その一方で、広く認知してもらうことは重要であるものの、本来の目的は、部品調達や資金調達です。そのため、世界で勝つ土台を短期間で作るには、どのような企業に応援してほしいのか、どのような部品が欲しいのかを明確化し、ピンポイントで企業に打診するほうが良いのではないかという意見もありました。

まとめ


世界で勝てるローバー開発のためには、開発以外にも必要なことがたくさんあるのですね。ARES Projectは今後の躍進に期待しています。そして、ABLabも引き続きその挑戦を支援していきます。

ABLabとコラボしたい企業、団体を募集しています!


今後もABLabでは、毎月オンラインイベントを開催し、メンバーやゲストのやりたいことや問題について一緒に議論していく予定です。ABLabと一緒に議論したい企業や団体を募集しております。ぜひ、お問い合わせフォーム等からご連絡ください。


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投稿者プロフィール

ゆい秘書/広報
ABLabの秘書兼広報。
現役大学生ですが、宇宙へのアツさは人一倍!
「たくさんの人に宇宙、宇宙ビジネスの魅力を伝えたい」という思いで日々、運営業務や情報発信のお手伝いをしています。