宇宙葬ビジネスの勝算とは(イベントレポート)
ABLabでは2019年1月11日、「宇宙葬ビジネス」をテーマとしたワークショップイベントを開催しました。宇宙葬サービスを提供するエリジウムスペース取締役の金本成生氏をゲストに招き、参加者と共に宇宙葬ビジネスの勝算を探るディスカッションを展開しました。
日本橋の宇宙ビジネス拠点「X-NIHONBASHI」にて、約20名が参加し、ディスカッションではお酒を片手に斬新なアイデアが飛び交いました。
タイムテーブル(目次)
18:30-19:00 | 開場、受付 |
19:00-19:30 | 宇宙ビジネスのオンラインサロン「ABLab」とは ABLab代表 伊藤真之 |
19:30-20:30 | 宇宙葬サービスの紹介、現状や今後の展望について エリジウムスペース取締役 金本成生氏 |
20:40-21:30 | グループディスカッション 【テーマ1】宇宙葬ビジネスは儲かりますか? 【テーマ2】2022年、宇宙葬ブームが来た要因は? |
21:30-22:00 | ネットワーキング |
いきなりピンチ(笑)
イベント開始10分前、本来は20名の来場で満席となるはずの会場ですが、2人しか来ていません。
なんとPeatixに記載の会場住所に誤りがあり、隣のビルを指してしまっていました。参加者の皆様、本当に申し訳ありませんでした。
ゲストの金本氏もいる中、代表の伊藤は、2名しかいない会場で「安心してください。今日は20名来ます。」と繰り返しておりました。
最終的には、予定通り来場約20名の大盛況となりました。本当にありがとうございます。
宇宙ビジネスのオンラインサロン「ABLab」とは
無事にイベント開始に至り、ABLab代表の伊藤より、ABLabの紹介をさせていただきました。ABLabの概要については、下記のページからご確認ください。ホワイトペーパーを公開しております。
宇宙ビジネスに挑戦したいと思っても、ひとりでできることには限界がある。しかし僕らはそれぞれ多様なスキルを持っている。ABLabで仲間を作り、場を利用し、お金を動かすことで、僕らのパワーは大きく拡張される。僕自身も、ABLabの仲間のおかげでこのようなイベントを主催したり、様々なことに挑戦できている。3年後には年間1億円を動かせる組織にする。一緒にワクワクしよう。というようなことをお伝えしました。
宇宙葬サービスの紹介、現状や今後の展望について
宇宙葬サービスを提供するエリジウムスペース取締役の金本氏より、宇宙葬サービスの概要や課題、今後の展望などについて解説いただきました。印象深かった点を中心にいくつか抜粋してご紹介します。
歴史とともに変わる葬送のかたち
これまでの人類の歴史において、ピラミッドや古墳があるように、歴史とともに葬送の形は変わってきましたよねというお話。今後、テクノロジーの発展とともに葬送の舞台が宇宙へ、つまり宇宙葬という新しい形へ変化しても不思議はないのです。
金本氏の、宇宙葬という新しい文化を創る挑戦。面白そうです。
流れ星供養と月面供養
エリジウムスペースでは現在、「流れ星供養」と「月面供養」の2つのプランを提供しています。「流れ星供養」は、遺灰を人工衛星に乗せて打ち上げ、地球の周りを数年に渡って周回させたのち、大気圏に突入して流れ星になるというプランです。「月面供養」はその名の通り、月に遺灰を運びます。流れ星供養は約30万円、月面供養は120万円で提供しています。
流れ星供養については、ちょうど昨年2018年12月に初の打ち上げが成功し実績ができたところだそうです。月面供養は2021年の打ち上げを予定しています。
宇宙葬サービスのビジネスモデル
ビジネスモデルの詳細や採算に関する数字は、すみませんがセミナーに参加した方だけの情報として留めさせてください。
今なら、ABLab内で資料を共有していますので、入会すれば閲覧可能ですよ(笑)
国内マーケットのポテンシャル
あまり喜んで話すことではありませんが、日本は宇宙葬ビジネスにおいて魅力的なマーケット環境にあるとのことです。潜在的に大きなビジネスチャンスが眠っているのです。
- 日本は火葬の割合が99%(つまり、遺灰を運ぶ宇宙葬がやりやすい)
- 葬儀代の平均額がアメリカの2倍であり、葬儀にお金をかける文化がある
- 高齢社会で65歳以上の人口が急激に増えている
リスクと参入障壁
現状のリスクや参入障壁を挙げていただきました。課題は、大まかに言うと、ロケットの問題と、ビジネススキーム的な問題に分けて考えることができそうですね。
課題はありますが、だからこそチャンスがあります。技術的な問題は解決にそう時間はかからないのではないでしょうか。あとはビジネススキームの問題を打開していくことで、大きなビジネスへと発展していく可能性がありそうです。
皆さんは、宇宙葬ビジネスの勝算が見えてきましたか?
グループディスカッション
休憩をはさみ、お酒を片手に、それぞれのテーブルで自己紹介をしつつ、グループディスカッションに移ります。ここからが本当に楽しい時間です。
各グループで10分ほど議論し、その後全員の前で発表していただきました。短い時間にも関わらず、皆さんとても素晴らしいアイデア、素晴らしいプレゼンでした。
【テーマ1】宇宙葬ビジネスは儲かりますか?
ズバリ、宇宙葬ビジネスは儲かりますか?という問いに対し、「儲かる」「儲からない」のスタンスを決めていただき、その理由を考えていただきました。印象的だった意見をいくつか抜粋して掲載します。
- 儲かるか儲からないかじゃない。儲けるんでしょ!
- 人は祈る時、明確な座標が必要。だから宇宙葬は月が最適。月を人類共通の墓地にしよう!
- 1回限りのサービスではもったいない。一周忌、三周忌、、と、葬儀ビジネスには複数回のビジネスチャンスがある。
- 月に寺院を建設しよう。
- 葬儀ではなく、女子向け、カップル向けなど、別のサービスへの展開もある。
葬儀というのは文化、宗教と密接に関係しているので、反対や批判は間違いなく出てくるでしょうが、少なくとも「月に祈る」という行為はものすごく自然なものとして感じました。大切な人たち、偉業を成し遂げた偉人たち、彼らが月に眠り、僕らの祈りを受けてくれるなら、それはきっと僕らの心の支えとなるのではないでしょうか。
【テーマ2】2022年、宇宙葬ブームが来た要因は?
「2022年、宇宙葬ブームが来ました」という前提で、未来から過去を振り返るというアプローチで議論していただきました。
印象的だった意見をいくつか抜粋します。
- 天皇やローマ法皇が宇宙葬を希望した。
- カリスマ的著名人が月に眠った。
- 宇宙葬の誰もが知る名シーンが誕生した。
- ごく自然な流れで宇宙葬が普及していった。
- 大手による買収で宇宙葬に大きな資金が投入された。
「宇宙葬に対する憧れ」を創出できると、自然と普及が進んでいくのかもしれませんね。また、明確なビジョンが資金の流入を誘い、それによってサービスレベルや料金に革命的な変化が起こり、一気に普及するという絵も描けますね。
ネットワーキング
ディスカッションで温まった会場は、引き続き交流の場へと変わりました。参加者の熱量が伝染し、宇宙ビジネスの裾野が広がっていけば、これ以上に嬉しいことはありません。名刺交換だけだとこれっきりで終わってしまうことも多いので、Facebook等のSNSでもつながることをおすすめさせていただきました。
参加者の佐久間さんが撮影してくれた360度写真。画像をクリックするとFacebookで閲覧できます。
まとめ
いつもはABLabメンバー限定のクローズドに開催していた定例会イベントでしたが、今回は一般参加も募って開催してみました。ABLabメンバーと一般参加メンバーが半々の割合で、お互いに良い刺激になったのではないでしょうか。
今後もABLabでは月に2回のペースでイベントを開催していきます。次回以降もぜひお気軽にご参加ください。
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投稿者プロフィール
- 1983年、福島県生まれ。IT業界で約10年マーケティングの経験を積んだ後、ファンブック株式会社を設立し独立。2018年、当時小学1年生の息子と宇宙の勉強を始めたことがきっかけで、宇宙ビジネスの潮流を知り、半年後に宇宙ビジネスコミュニティ「ABLab」を創設。「地球上のすべての業界を、宇宙産業に巻き込む」というビジョンを掲げ、異業種から宇宙に挑戦する人や企業を支援し、事業創出と人材輩出に取り組む。