【開催レポート】ABLab定例会 宇宙×AI編(10/24)

10月24日のABLab定例会は、大学院でAIを研究しているABLabメンバーの土屋さんに講師になっていただき、「衛星データ×AIの基礎知識&ハンズオン勉強会」というテーマで勉強会を行いました。はじめにAIの概要、画像解析などについて学び、その後、簡単なプログラムを使ってAIによる画像分類を体験しました。

開催概要はこちらの記事を参照ください。
https://ablab.space/lab/mtg-20181024/

 

講師プロフィール

土屋 祐太
早稲田大学大学院の修士1年。電力分野の課題に対して機械学習を活用する研究を行っている。また、メタデータ株式会社でAI製品開発エンジニアの長期インターンシップをしており、それらの経験から宇宙×AIの可能性を模索中。趣味はギター。将来絶対宇宙旅行したいマン。
Twitter:@kireipan55

 

AIの概要

早稲田大学大学院でAIを研究している土屋さん

今回は早稲田大学大学院でAIの研究をしている土屋さんからAIについてレクチャーいただきました。

内容は大きく分けると以下の3つです。

  1. AIとは?(AIの概要)
  2. 深層学習の基礎知識
  3. 宇宙とAI

 

(1)AIとは?

AIの種類や手法

人工知能(AI)には2つの種類があります。人間の知能の一部を代替する、一見、知的な限られた問題解決を行える「弱いAI人間が話す自然言語を理解し、人間と同様の精神能力を有し、人間と同じような動作をする「強いAI」の2つです。

AIの中核を成している技術の一つに機械学習というものがあります。機械学習とはデータ内のパターンを機械的に見つけ出し、予測や分析に用いる手法の総称です。正解データを学習させて回帰分析や分類を行う「教師あり学習」とデータの構造や傾向を解釈するための「教師なし学習」という方法があります。

また機械学習の一種である「深層学習」という手法もあります。深層学習とは、人間や動物の脳神経回路をモデルとし、パターンを認識するように設計されたニューラルネットワークというアルゴリズムを多層構造化したものです。深層学習については次のパートでもう少し説明します。

 

(2)深層学習の基礎知識

深層学習は「ニューラルネットワーク」と呼ばれる構造を基本としています。

ニューラルネットワークとは脳の神経細胞を模した人工ニューロンを複数繋ぎ合わせて作られるモデルのことを言い、多数の層から構成されるニューラルネットワークのことをディープラーニング(深層学習)と呼びます。

 

(3)宇宙とAI

衛星データは毎日数テラバイトという莫大なデータ量を持つため、人間が分析するのは困難になりつつあります。そこで衛星データの分析にAIが用いられています。例えばSAR衛星画像から海面の油膜をAIを用い自動検出するシステム月面の画像からクレーターを自動探知するシステムなどが開発されています。

画像分析だけでなく、宇宙飛行士の宇宙ステーションでの業務をサポートするロボット宇宙飛行士「CIMON」と呼ばれる人工知能アシスタントなども開発されています。

またさくらインターネット株式会社が経済産業省から委託を受けて「Tellus」という日本初の衛星データプラットフォームを開発するなど衛星データ利用の機運が高まっています。

 

AIでの画像分類ハンズオン

AIについての基礎知識を学んだあと、実際に深層学習を用いて2種類の画像分類にチャレンジしてみました。

  1. 猫の品種分類
  2. 好きな画像分類

1つ目の課題はあらかじめ用意された2種類の猫の画像を学習させ、分類してみるというものでした。学習回数などのパラメーターを調節しチームごとの精度を競いました。

2つ目の課題はチームで好きな画像をネット上で探し、分類に挑戦しました。春夏秋冬、季節の画像を分類したチームもあれば、木星と地球を分類したチームもありました。学習させる画像数が少なかったこともあり、高い精度を出すことは出来ませんでしたが、気軽にAIによる画像分類に触れられた楽しい勉強会となりました。

 

まとめ

今回は「AI」をテーマに基礎を学び、実際に画像分類に挑戦しました。衛星画像分析や人工知能アシスタント、惑星探査のためのローバーなど様々な宇宙分野でAIの必要性は高まっていくでしょう。既にNASAなどの宇宙機関でも情報系の人材が足りてないといます。筆者自身、データサイエンスを勉強していますが、データサイエンスやAIを生業としている方々の需要は宇宙分野でもさらに増していくと感じています。

この機会に是非、宇宙に目を向けてみてください。

 

投稿者プロフィール

喜田 圭伍
喜田 圭伍副代表
国際基督教大学(ICU)3年の学生。2年時に世界最大級のソーシャルビジネスコンテストHult Prizeの学内予選を主催する団体を設立。サポートしたチームが日本ベスト6に選ばれ、ドバイ、メキシコで行われた国際大会にも出場。また東大HAITにて機械学習、データサイエンスについて学んでいる。宇宙とソーシャルビジネスに興味がある。