【ABLabマンガ】第4話「SEESE」

ABLabマンガの第4話です。
今回からは、ABLab発のプロジェクトをご紹介していきます。
今回取り上げたのは、人工衛星環境試験のシェアリングサービス「SEESE」です。

ABLabのプロジェクト

ABLabでは、日々様々なプロジェクトが立ち上げられています。

超小型ローバー「YAOKI」による月面探査、R2-D2を月面に連れて行くプロジェクトをはじめ、宇宙技術や知識による教育、アパレルブランドの立上げなど、各々魅力的なビジョンを掲げ、その実現のために活動しています。

ABLabには、誰かが「〜が面白そう」という話をすると、すぐに「やろう!」と人が集まってくる文化があり、打席に立てる機会が圧倒的に多くハードルも低いという特徴があります。

数あるプロジェクトの中でも、内閣府が主催する宇宙ビジネス事業化支援コンテスト「S-Booster 2019」ファイナルまで進出したプロジェクトがあります。
S-boosterについてはこちら。
今年の3月から5月、ABLabからいくつかのプロジェクトがS-Boosterに挑みました。厳しい競争を勝ち抜き、なんと、1つのプロジェクトが最終選考まで辿り着いています。
その名も、小型衛星試験場のシェアリングサービス「SEESE」です。

SEESEとは?

SEESEを立ち上げたきっかけ〜人工衛星製造にまつわる課題感〜

宇宙環境は過酷です。

急激な温度変化、真空状態、放射線など、宇宙空間を旅する人工衛星やロケットは極限状態に置かれます。そもそも、宇宙空間に到達する前には、打上げ時の振動にも耐えられなければなりません。
そのため、人工衛星を作って打ち上げるためには事前に様々な試験が必要です。
例えば、ロケット打上げ環境に耐えられるか(振動・衝撃試験)、熱変化や放射線に耐えられるか(温度環境試験、放射線試験)、真空環境でも機能するか(アウトガス測定試験)、電波受信テストなど、多くの試験をクリアしなければなりません。
何もテストせずに打ち上げたとしても壊れてしまうのは間違いないでしょう。
これらの試験をするには試験設備が必要です。
しかし、試験ごとに違う機関に申請しなければならなかったり、専門知識が必要だったり、梱包や発送といった事務処理など、衛星メーカーとしては面倒なタスクを抱える一方、試験設備を提供する事業者としても、稼働率を上げたい、日程調整が面倒、人材不足など、それぞれ課題を抱えていました。
これらの課題を宇宙ビジネス界のシェアリングエコノミーで解決する仕組み、それが「SEESE」です。

SEESEの仕組み〜環境試験事業者と衛星メーカーを「つなぐ」

「SEESE」は、衛星メーカーと環境試験事業者との間を「つなぐ」ことで、それぞれの窓口を一本化させます。

衛星メーカーは「SEESE」に環境試験の依頼や事務処理を発注するだけでよく、煩雑な事務処理から解放され、開発によりリソースを割けるようになるでしょう。

環境試験事業者も煩雑な事務処理から解放され、効率的に設備を稼働させ、より多くの試験を受注できるようになるかもしれません。空いているリソースを「つなぐ」ことでフルに活用、価値を生み出すというシェアリングエコノミーの思想は、宇宙開発にも活用できるのです。

※事業内容は執筆時点(2019年10月29日)のもの。

S-Booster 2019ファイナルへ〜SEESEが加速させる宇宙産業

これからますます加速していく宇宙ビジネスですが、ロケット打ち上げや衛星データを利用したサービスと比べると、「SEESE」は一見地味に見えるかもしれません。

しかし、日本が世界と戦っていくには、できるだけ新規参入の敷居を下げ、ビジネスサイクルを早く回すことが可能な世界を作る必要があります。

「SEESE」は、日本の宇宙産業の土台作りに貢献するサービスなのです。
※S-Booster 2019 最終選考は11月25日です。
(詳細)

日程:2019年11月25日(月)13時30分~17時50分(予定)
(一般受付・開場開始 13時00分予定)
会場:日本橋三井ホール(〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1 4F・5F)
URL:https://s-booster.jp/2019/final/index.html

編集後記

今回は、人工衛星の環境試験シェアリングサービス「SEESE」をご紹介しました。

いかがでしたか?

これまで、人工衛星の開発、打上げをはじめとする宇宙開発は政府主導でなされてきました。しかし、これからは官民共同でなされる時代です。
エンジニアがエンジニアリングに集中でき、日本が世界に負けない「モノづくり」を実現できるようにするため、「SEESE」のこれからに注目です。

Special Thanks

まんがたり前田さん、上野りゅうじんさん、マンガ制作へのご協力ありがとうございました。

まんがたり
漫画家が漫画を書くことだけに集中できる環境を作る
https://www.mangatari-comictalk.com/

上野りゅうじん@本スペ&web漫画連載中
https://twitter.com/U_ryu_jin?lang=ja

投稿者プロフィール

星諒佑
星諒佑
インドのスタートアップで奮闘しながら宇宙法に挑む企業内弁護士。
北海道でのMOMO打上げ実験に参加したことをきっかけに、宇宙法の課題に興味を持ち始める。日本の宇宙ベンチャーが世界で戦っていける環境を構築するため、「3分でわかる宇宙法」の連載をはじめ、ひたすら行動する日々。
宇宙法研究部会部会員、IT法研究部会部会員、シェアリングエコノミー研究部会部会員、リモートセンシング学会会員

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