「宇宙ビジネス 第三の波」の要約と感想

ABLabの伊藤です。数少ない宇宙ビジネス書籍の新刊、齊田興哉さんの「宇宙ビジネス 第三の波」を読みました。要約と感想を書きます。近年の宇宙ビジネスの動向がまとめられている新刊(2018年4月初版)でして、宇宙ビジネス入門者におすすめの書籍ですね。

宇宙ビジネス第三の波-NewSpaceを読み解く- (B&Tブックス)

齊田 興哉 (著)

 

要約

本書は3つのパートから構成されていまして、

「Part1」では、「Old SpaceからNew Spaceへ」ということで、宇宙ビジネスの歴史を紐解き、従来のOld Spaceからの流れを解説しています。

Old Spaceというのは、アメリカとソ連のロケット開発競争時代から始まり、各国が協調してISS(国際宇宙ステーション)建設に取り組むようになった時代を指しています。つまり、国が中心となって宇宙開発に取り組んでいた時代がOld Spaceです。

そして今、宇宙ビジネスは民間中心の時代へと移ります。それがNew Spaceです。他業種と同じように、BtoB、BtoCで様々なビジネスモデルが展開され始めています。

 

「Part2」では、「宇宙ビジネス第三の波」と題して、このNew Spaceの動向、つまり、新たに宇宙ビジネスに取り組むプレイヤーたちの取り組みを紹介しています。

「第三の波」とはこのNew Spaceのことです。「第一の波」は、アメリカとソ連の冷戦時代に、お互いの技術力を競う形でロケット開発が発展していった時代です。「第二の波」は、冷戦が終結し今度は各国が協調して宇宙開発に取り組んだ時代です。それを象徴するのがISS(国際宇宙ステーション)の建設です。そして今、民間企業が次々と宇宙ビジネスに参入しはじめ、大きな変化が起き始めているのが「第三の波」というわけです。

ということで、今、宇宙ビジネスにおいてどんな事業、取り組みがなされているのかを幅広く紹介しています。

 

「Part3」では、「New Spaceのビジネスモデル」ということで、現在代表的な宇宙ビジネスのビジネスモデルをピクト図解で解説しています。例えば、衛星通信事業やリモートセンシング事業など。ピクト図解はシンプルで、学生とかでもわかりやすいと思います。

従来の宇宙ビジネスは官需中心で、プレイヤーも限られ、閉鎖的な市場でした。まだまだ事業採算性が課題ではありますが、参入障壁は徐々に下がってきています。従来のロケット開発のように莫大な資金がなくても、既存ビジネスの技術や強みを活かして参入できるようになってきています。

 

感想

宇宙ビジネス入門者におすすめの書籍ですね。新たに宇宙ビジネスへの参入を検討することになったビジネスパーソンはこの辺が入口になると思います。

それにしても「第三の波」というのは非常にわかりやすい表現ですね。宇宙ビジネスの歴史を3つに分けて大きな流れとして把握し、今このNew Spaceの時代を捉えるのはとてもしっくりきました。

読後感として強く感じているのは、「New Spaceは新しくない」ということです。従来の宇宙ビジネスが古いんです。官需中心の閉鎖的な市場だったのです。今まで宇宙はビジネスとして成り立つ分野ではなかった。それが、ようやくビジネスが成立しそうなステージまで発展してきたという話です。つまり、宇宙ビジネスというのは、ビジネス的な観点でいうと、めちゃくちゃ遅れている分野なのです。

かつて「インターネット」がそうであったように、最初はビジネスとして成り立つような分野ではなかった。それが今は、全ての業種においてインターネットビジネスが適用できています。同じように、宇宙ビジネスにおいても、新たなビジネスが生まれるだけでなく、既存の全ての業種に「宇宙ビジネス」が適用されることになるわけです。

今後、この宇宙ビジネスのチャンスを掴むためには、本書で紹介されているような、「宇宙ビジネスの事例」を数多く引き出しとして持っていることが重要と思います。そして、「宇宙ビジネスやるぞー!」と意気込むよりは、「既存ビジネスの課題を解決する手段がたまたま宇宙だった」というくらいのほうが良いのかもしれません。

多くのビジネスパーソンが宇宙ビジネスをちょっとかじっておくことをおすすめしたいですし、僕はそれをお手伝いするような仕事がしたいと思っています。

 

投稿者プロフィール

伊藤 真之
伊藤 真之
ABLab代表。「まっしゅ」とも呼ばれています。「地球上の全ての業界を、宇宙産業に巻き込む」が口癖です。

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