【開催報告】ABLab×PMI ~イノベーターによる政策立案とは~

PMI-ABLab

9月27日、ABLabメンバー限定イベントとして、PMI(一般社団法人 Public Meets Innovation)の石山アンジュさん、日比谷尚武さんをゲストにお迎えし、少人数の勉強会を行いました。今回の記事ではその内容を少しだけご紹介します!

勉強会企画の背景

昨今、宇宙という新しい市場が注目を集めつつあり、企業による投資や事業進出も活発化してきています。しかしながら、投資金額の大きさや収益化まで長期間を要すること、また宇宙という新しい分野において法律や規制が整っていないということもあり、国の政策も重要な役割を担うことになります。宇宙分野にも様々な領域がありますが、私が特に注目しているのがABLabに参加して学んだ「宇宙天気」です。

太陽からは電磁波などが放出されており、時として人工衛星や地球上の電力施設に悪影響を及ぼす場合があります。実際に1980年代、カナダのケベック州一帯で太陽フレアの影響により停電が発生するという事例がありました。電力によって支えられている現代の社会において、もし大規模な停電が起こってしまったら、大混乱が起きてしまうのではないか。宇宙天気の影響から社会を守るようなソリューションを提供する事業も必要ではないか。そのためにも国の宇宙政策の動向を知り、行政に働きかけることが重要であると感じました。

そんな中で、「イノベーションを社会と接続する」というビジョンを掲げるPMI様を知りました。

参考:ABLabの宇宙天気プロジェクト

Public Meets Innovation (PMI)とは

URL: https://pmi.or.jp/

一般社団法人Public Meets Innovationは、「社会問題を『イノベーション』という視点から解決し、官民が一体となる社会を目指す」という団体です。民間企業からしてみると「政府に対して変えて欲しいところはあるけれどもどうすればよいのか分からない」という想いに対して、民間と行政の”橋渡し”として活躍されている団体です。今回は代表理事である石山アンジュさんと理事の日比谷尚武さんに勉強会の講師をお引き受けいただきました。

パブリックアフェアーズ(PA)とは

パブリックアフェアーズ(PA)とは、広義の意味ではPR(パブリック・リレーションズ)の一部であり、企業や組織が目的達成のためにターゲットを定め、そのターゲットのとの関係性を構築したり、維持したりすることです。製品について、販売促進やセールスのために発信活動をするだけでなく、世論に働きかけるべく根幹となる技術や概念に関する理解を広めたり、時には行政機関に働きかけるなどして政策にはたらきかけることも視野に入れます。

なぜそのような取り組みを行うことが必要なのか。それは法律や世論が技術の発展のスピードに追いつかないからです。民泊やライドシェアの到来など時代は急速に変化しますが、法律や世論はそう簡単に変えられるわけではありません。だからこそ、テクノロジーの進化とともに社会を変えていくためには、広報的な活動が必要なのです。

どのようにしてPAを行うのか

PAもしくは「広報的な活動」を推進するにあたり、コミュニケーションの設計をする必要があります。基本的な考え方として、大きく5つの段階があるとのことです。

①ターゲットを定める

②ターゲットの態度をどのように変容させるか考える(どのように認識・行動を変化させるかを考える)

③インサイトを設定する(ターゲットがどのような外部環境におかれているのかを考える)

④伝える内容を考える(ビジョン、ターゲット、外部環境等から一番伝えるべきことを考える)

⑤伝え方を考える(マスメディア、SNS、書籍など)

ターゲットが異なれば④、⑤も変わるため、常に①~⑤のどれもが欠けることなく行うことが大切とのことです。

意見交換

PMI勉強会

今回は数百人規模の講演ではなく、20人前後の少人数の勉強会をお願いしたいという私たちのリクエストに快く応じてくださいました。講義の後は、意見交換の時間を設けさせていただき、勉強する中で湧いていた疑問や、普段の活動に対するアドバイスなど、大変貴重なご意見をいただくことができました。

まとめ

私たちは「政策は政治家が進めるものだ」と思いがちですが、民間の私たちでも理念を掲げながら多くのステークホルダーを巻き込み、社会全体に働きかけることで世の中を変えることが可能です。それがNew Public (新しい公)です。テクノロジーが進歩し、社会がさらに複雑化した今、「ルールに従う」だけではなく、「ルールを自らが作る」という姿勢が必要なのだと学びました。

投稿者プロフィール

水口周平
水口周平
神戸の大学院に通っている学生。主には国際政治を勉強しており、宇宙政策を中心に研究中。ABLabでは関西支部代表を担っている。